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新しくなったton2net



みんな同じさ

大学院共通科目
「発明発見はいかにしてなされたか」

【教 室】  1H201
【曜日時限】 2学期
金曜日6時限目(ただし9月12日は4~6時限)
【目 的】
自然科学上の発見や有用な発明がなされた過程を明らかにする ことによって、
優れた研究(仕事)を行うには何が大切かを学ぶ。これは分野 によらず共通 である。
【講義予定】
9月12日(4~6時限)
石田寅夫(鈴鹿医療科学大学・東洋医学研究所長)
「ノーベル賞からみた独創的研究のための7つの法則」
_______________________________

「でもね、よく考えてみろよ」
と、鼠に向かって”僕”は言う。
「条件はみんな同じなんだ。故障した飛行機に乗り合わせた見たいにさ。
 もちろん運の強いのもいりゃ運の悪いのもいる。
 タフなのもいりゃ弱いのもいる、金持ちもいりゃ貧乏人もいる。
 だけどね、人並み外れた強さを持ったやつなんて誰もいないんだ。みんな同じさ。
 何かを持ってるやつはいつか失くすんじゃないかとビクついてるし、
 何も持っていないやつは永遠に何も持てないんじゃないかと心配してる。
 みんな同じさ。
 だから早くそれに気づいた人間がほんの少しでも強くなろうって努力すべきなんだ。
 振りをするだけでもいい。
 そうだろ?強い人間なんてどこにも居やしない。強い振りのできる人間が居るだけさ。」
この発言の内容を本当に信じているという”僕”に向かって、鼠は真剣な顔でこう言う。
「嘘だと言ってくれないか?」


村上春樹のデビュー作『風の歌を聞け』のワンシーンだ。
”僕”は、タフなのも弱いのも、金持ちも貧乏人も、条件は同じだといっている。
もちろん、”僕”と鼠もだ。
ここに、直接的に語られることのない(それ故一番語りたいことであると推測できる)、
”僕”のもうひとつの物語の存在が強く示唆されている、
と石原千秋は『謎解き、村上春樹』の中で述べている。

『風の歌を聞け』は、次のように始まる。

 「完璧な文章といったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
 僕が大学生のころ偶然に知り合ったある作家は僕に向かってそう言った。僕がその本当の意味を理解できたのはずっと後のことだったが、少なくともそれは、ある種の慰めとしてとることも可能であった。完璧な文章なんて存在しない、と。


「強い人間なんてどこにも居やしない。強い振りのできる人間がいるだけさ。」という言葉も、
ある種の慰めとしてとることも可能であるように思う。
by ton2_net | 2008-09-05 12:08
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