なんやかんやで
今理学部に相当するところで物理学を専攻しているわけだが、
「なんで理学部の物理なの?」
と聞かれたとしても、明確な答えを返せる訳ではない。
ただ、この分野を選んだきっかけとなることはあって、それは、
NHKで高校3年生のときにやっていた海外の教育番組で、
「われわれの住む世界が5次元の空間に囲まれている」
という趣旨の当時一躍注目を浴びていた理論(今も有力な説として注目されている)を紹介したものだった。
その理論を作った一人が、リサ・ランドールという名前の女性の科学者であることを最近知った。
茂木健一郎のブログ、「
クオリア日記」には彼の講演の音声ファイルがアップされていて、誰でも入手可能だ。その中で、茂木健一郎が、今話題の科学者、としてリサ・ランドールをあげていて、たまたま最近書店で彼女の本を見つけて、買って読んでみたら懐かしいこの「ブレーン理論」と再会することが出来た。
(ブレーン理論という言葉は勝手に僕が呼んでいるだけでおそらく他の人は使っていないので注意。)
われわれの住む世界を3次元の膜
(膜と言えば2次元であり、変な感じがするが、そういうものがあるとして話をすすめる)
にたとえる。
ランドールは、それを、シャワー・カーテンに例えていて、そこに着く水滴が、われわれ人間であったり、銀河であったり、原子だという。
水滴は膜に張り付いていて、その表面を這うことは出来るが、バスルームにいきなり飛び出てくることは無い。
それと同様、我々はどんなにがんばっても我々の世界を抜け出せない。なぜなら、我々の世界を取り囲んでいるのは3次元以上の世界であり、3次元の動きだけでは絶対に抜け出せないからだ。
しかし、シャワーカーテンから抜け出せる物質がある、というのが、
この理論の面白いところで(といってもこの理論を全部知っているわけではもちろんないが)
それが、重力の原因である「グラヴィトン」という物質だそうだ。
この世界には4つの大きな力があって、
・重力(りんごが地球の中心に向かって落っこちていく、あれ)
・電磁気力(磁石に鉄が引っ付いたりする、あれ)
・弱い力(原子核を異なる原子核に変える力)
・強い力(陽子・中性子の元であるクォークを引っ付ける力)
という4つである。(ちなみに、この4つの力をまとめて表すことの出来る方程式を「超越方程式」といい、それを見つけることが、物理学の大きな目標の一つらしい)
この4つの力を比べてみると、重力だけが、明らかに、弱くなっている。
「その原因はいったい何なんだ。」
というのが「階層性問題」という問題なのだが、
グラヴィトンだけが我々の世界から抜けられるということを考えれば、説明がうまくついて、
電磁気力のもとは電子、弱い力のもとはウィークボゾンというように、それぞれの力にはそのもととなるものがあるが、それらは、我々の世界から抜け出せないので、居られるフィールドが狭い。
それに対してグラヴィトンはほかの世界にも行き来が出来るので、移動できるフィールドが広くて、その分我々の世界は「お留守」になっていて、ほかの力の元の数よりも、我々の世界に存在するグラヴィトンの数は、少ないのだという。だから重力はよ弱くなるのだと。
それが本当なら、とランドール博士は言っていて、
「グラヴィトンを使って他のブレーンに住む異世界の人々と交信できるかもしれませんね。」
という可能性を示唆していた。
わけのわからないことをごちゃごちゃ書いてしまったが、書いてあることは
前にも紹介した本
『
異次元は存在する』(リサ・ランドール 若田光一 NHK出版)に詳しい。
対談形式でとても読みやすいので、ぜひおすすめしたい。
こういう、ストーリーが立つ話、
つまり
「
自分で線を引く」
ことが出来る話をもっと勉強したい。
それが、「
科学」だと思うからだ。