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新しくなったton2net



卒・修研究発表練習会2010

去年も行なわれた発表練習会を今年も行う運びとなった。
大勢の方に参加していただいた。
どうもありがとうございました。
そして、協賛(会場提供)は筑波大学 応用加速器部門さま。
卒・修研究発表練習会2010_e0126903_021222.jpg


一番手は、I川君。
「CT画像から自動でガン(またはその候補)を検出し、お医者さんの負担を減らすための研究」。
現在、肺がんを発見する手法としては、CTをとって、それを医者が診て判断する、という手法をとっている。
二人の人間が見て判断しているところを、一人の人間と、画像認識で自動検知した結果によって診断を行い、医者の負担を減らそう、というもの。
I川君の発表は、スーパーバイザーとしての仕事によりきちんと見られなくて残念。
ただ、スライドの作り方が非常にきれいで、見やすかった。
時間配分もばっちり。
最後に、ガンを発見するプログラムを書き換えた時に、すぐにプログラムだけ変えて施工できるか、というとそれは出来なくて、プログラムを書き換えただけでも一から治験を行なわなくてはいけない、という難しさがある、という話が興味深かった。

2番手、K村君。
「電車を自動制御を用いて停車させ、駅にホーム柵を作ることでホームの安全性を高めるための研究」
駅のホーム柵を設置すれば、線路への人の転落を防ぐことが出来るが、
しかしそれには電車を定められた停車位置に精度良く停車させないといけない、という課題が生じる。
TASCという技術を用いて、自動で電車を停止させよう、という試み。
その際に「予測ファジィ制御」という制御方法を用いるという。
”ファジィ”とは、曖昧という意味であるが(確か)、停車位置だけでなく、
加速度を微分することによって得られる乗客の「不快感」など複数の要素を総合的に判断した上で先のことを予測して、それを制御に活かす、ということだと思う。
電車の「車上子」と線路の「地上子」で電車の位置を測定するのがTASC?
あとは電車の速度、加速度?
この三つのパラメータで電車を制御できるのかどうかがちょっとわからなかったが、
専門外の人にもわかってもらおうとする丁寧な説明が印象的だった。

3番手はDじろう。
「周波数がテラHz領域の光の検出に対する研究」
周波数がテラHz領域の光は、
水      :吸収
プラスチック:透過
金属     :反射
という性質を持つ(もちろん物質の厚さにもよるだろうけど)。
この性質は物性研究に利用できる(のではないかと思うのだけど)、
その為には調べたい物質を透過してきたこのテラHzの光を検出できなければいけない。
最初にレーザーを二つに分けて、一つをテラHzの光、もう一方を「プローブ波」とする。
このプローブ波は、テラHz波が通った後少し遅れて物質を通過する。
この時、プローブ波の透過率を見ることで、テラHz波が透過した物質の構造をどれくらい
変えたかが分かる。
「少し遅れて」と書いたが、これはピコ秒のオーダーで、この遅れを変えることで、
調べたいテラHz波がどのくらいの時間幅で広がっているかを調べることが出来る。
こういう手法もあるのか、と新鮮だった。
土壇場で作ったというスライドだったが、時間をオーバーしたものの、スライドも発表の仕方も
悪くなかったと思う。

4番手は院1のまっきーさん。
「よくわかならいが、カーボンナノチューブ(CNT)のコヒーレントフォノンについての研究」
発表を聞いていて、すごいな、と思った。
「すごいな」と思うということは、自分ではよく理解できていないということである。
何がすごいかよくわからないが、すごいな、と思った。

研究内容を書くと間違いだらけになると思うので印象に残ったところを書くと、
CNTは、「カーボンでできたシートを丸めて筒にした」(怪しいな...)ようなものだが、
その巻き方によって伝導性が変わるという。
二つのパラメータn,mを用いたベクトル(カイラルベクトル?)を作ることが出来、
このn-mのmod3(3で割ってあまりは幾つ?)が0の時には金属様の伝導性、
1,2の時には半導体の伝導性を示すという。
この話を聞くだけでも、CNTが非常に面白い素材だと分かる。
しかも、それがまたmod3で決まるっていうのも、素敵じゃないですか。なんか。
あと一年でこの人に追いつけるとは到底思えない発表であった。(勉強しよう。)


そしてトリはもちろんOTA。
「誘電率測定、ブリルアン散乱を用いた強誘電体の性質を調べる研究」
強磁性体は身の回りでも良く使われている物質である(らしい)。
その強磁性体中の格子中の原子を他の物に置き換えたりすることで、どのように
性質が変わるのかを調べ、強誘電体の中がどうなっているのかを調べる研究である。
個人的には、格子の周りのイオンの半径が大きくなればなるほど、格子の中心近くに
位置するイオンの自由度が大きくなり、誘電率も上昇する、という結果は非常に面白い
結果が出たんじゃないかなぁ、と聞いていて思った。
スライドも良かったし、説明の仕方も悪くなかったと思うけれど、「目的に対しての結果、まとめ」
という要素をもう少し改善すると、全体的によくなるのではないかな、と思った。



以上、間違いだらけだと思いますが、すみません。
あった時にでもクレームください。


この企画は去年も行なわれたのだが、去年よりももっとずっと楽しめた。
物性関係の発表が後半三つ続いたが、「物性も面白いな!」と思った。
全然知らない分野だから、全然しらないことがたくさんあり、それを質問できるのは、
面白い。
知らない世界がたくさんある、と思った。
そして、陸上同好会では普段全く見えない、「この人どんな研究してるの?」
が分かるので、これは手前味噌だが、中々いい企画だな、とほくそ笑んだりしてしまう。

来年は5年生と、3年生が発表してくれるのかな?
果たしてそんな精神的余裕が有るのかどうか・・・。



発表者の皆様始め、参加者の皆さん、どうもありがとうございました。
by ton2_net | 2010-02-10 00:40 | 物理学
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Ooishiです。こちらに切り替えようと思っています。https://ton2net.com/
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