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自分自身の理論、物語を創る力

研究室で学んだ大きな事は、「実験と理論」という、
二つの手法の関係性をなんとなく肌で感じ取れたことだ。


実験をして、得られたデータから、その意味を読み解き、理論を創る。
理論を創るとは、すなわち「事実に即した物語を創る」ということだ。

その「物語」から、まだ起こっていないこと、
まだ実験していないことのデータまで、推測してみる。

新しい実験で、その未知の領域のデータが得られ、
その物語の正しさが証明されてゆく。
(または実験データに合わせて理論が改訂されてゆく。)

このようにして、物事の理解は進む。


理論パートの真価が本当に発揮されるのは、
これまでの理論と実験データの矛盾に陥ったときだ。
このとき、ぱっと、考えつく選択肢は二つだ。
①理論が間違っている
②実験のやり方が適切でなく、データが正しくない

この考え方は、学校でよく行われるディベートに似ている。
AかB(=反A)かを選び、「どちらが」正しいか議論する。
両立はあり得ない。


去年の夏に見つかった「ヒッグス粒子(場)」も、
予言されたときは実にこのような状況だった。
しかし、物理学者たちは①でも②でもない、
”第三の道”を見いだす快挙を成し遂げた。

1960年当時、素粒子の世界が抱えていたジレンマはこうだ。
これまで積み重ねられて来た理論では、
(1)「素粒子はすべて質量が0でなくてはならない」。

しかし、1960年代には
(2)「様々な素粒子が質量を持つ事が明らかになってきた」。

(1)と(2)は、これだけみると共存不可能に見える。

しかし、理論物理学者のピーター・ヒッグスがこう考えたのだ。
「素粒子の質量はみんな0だけど、
 素粒子に質量を与える僕らの知らない”未知のファクター”があって、
 今は、素粒子と未知のファクターをごっちゃにしてるんだね、たぶん。
 そしたら今のままの理論でも実験データを説明できる。」


この「未知のファクター」は、「ヒッグス粒子(場)」と呼ばれるようになる。
それからおよそ50年。
ヒッグスの考えの正しさが、スイスのLHCで実験的に証明された。


考えてみれば、世界には元々矛盾なんて何一つない。
人間が、勝手に解釈して創った「物語」の中に矛盾が生まれるのだ。

「ジレンマ」に陥り、葛藤すること自体が悪いことでは、決してない。
葛藤することこそ、人間らしさだと思う。
しかし、限られた視点だと、それはただの矛盾になってしまい、
ただの”ゼロイチ”の2択を迫られることになる。

いつも覚えておきたいと思うのは、
引いた視線で見ると、一見相反しているように見えるけれども、
実は根っこが繋がっている複数の事柄が存在するということ。
そのジレンマを乗り越えた先に、「美しい理論」が有る場合があるということ。
(もちろん、そんなものは無い事も多いけれども。
 あるいは、二つともそのまま両立しなくとも、AでもBでもない、
 でもどちらの意見の人も納得するようなCを見つける事が起こりうること。)

自分自身で悩む。葛藤する。
でも有る瞬間、ぱっと目が覚めたような、急に視界が広がったような、
そんな感覚を味わう瞬間が、ごくたまに、ある。

その葛藤を乗り越える理論こそ、
「自分自身の物語」の中核を成すものになる。


そろそろ、1月も終わり。
就職活動が忙しくなる人も多くなると思う。
就職活動をする人の多くが、様々な板挟みに遭い、
「ダブルバインド」に悩まされると思う。

教育機関に、社会の予備校になれと言うことでは決してないけれど、
「これまで」と「これから」の評価や考え方のギャップに不安になる人は多いと思う。

本当の問題は、そこに「ダブルバインド」に陥る何らかの理由が有ることが、
きちんと認識されていないことだと思う。
その理由がすべて、若い世代のせいというわけでは絶対に、ない。

その理由を直視して、
現状のダブルバインドを乗り越える理論を考えること、
そして、これからの若い世代のために、それを埋めるには
どうしたらいいのか、を考えることが大切なんだと思う。


生きている限り、様々な経験をし、事実を突きつけられる。
それをいかに捉え、自分自身の物語として消化して行くか。

誰もが、自分自身という学問に対する理論家だ。
そして現代に生きる我々にこそ、
理論を導くための、「物語を創る力」が求められている。
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by ton2_net | 2013-01-22 00:33 | 物理学 | Trackback | Comments(0)

高校の廊下で”ハンドスプリング”を練習したこと

あけましておめでとうございます。
どうも最近腹筋のあたりが痛いなと思っていたら、どうやら、
年末から年始にかけていろんな人たちに会って笑いすぎて、
筋肉痛になってるみたいです。
本当に笑いまくった。


夕方、今年最初のブログに何を書こうかなと思いながら、
「走り初め」で実家の近くの小学校のグラウンドを走っていた。
そしたら、ふと高校の時に「ハンドスプリング」を練習していたときの話を思い出した。

高校二年かそこらだったと思うが、どうしても「ハンドスプリング」を習得したいと思っていた。

「ハンドスプリング」というのは体操の技で、「前方倒立回転跳び」とも言う。
つまり、だっと走って前のめりになって一回転してまた足で立つ技だ。

グラウンドとかでも練習してたけど、どうしても背中から落ちてしまって、立てずにいた。
初めてできたのが、なぜか学校の棟と棟を結んでいる、屋外の渡り廊下だった。
テスト期間中かなにか知らないけど、あんまり人もいなくてひっそりしていて、
教室に数人が残って勉強していたりした。

ふと暇だなと思って、渡り廊下に差し掛かったあたりで練習を開始してみた。一人で。
今思うと、結構やばいなと思う。笑

それで、最初何度かやってみたけどやっぱりだめだった。
なんでうまくいかないのかなぁ、と結構冷静に思った。
どうしても、着地のときに後ろに倒れて仰向けになってしまう。

で、なんか女の子にも目撃されて「ひっ」みたいな声を上げられたし、
もう帰ろうかなと思ってたときに、
もう一回だけやってみようかなと思った。

もう一回だけ。
これで失敗したらもうやめようと。

それで、なんとなく助走をつけて、もうそのまま前へ倒れる感じで手をついたら、
気づいたらちゃんと着地して、立てていた。
なんだ、こんなに簡単なことだったのかと思った。

今思うと、もうその時期なら、いつだって、それを成功させることはできたんだと思う。

たった一つ成功を阻んでいたのは、自分自身意外の何者でもなかった。

本当にできるのか?失敗したら痛いかも。
そういう、無意識の思考が、前へ倒れる前に踏み足にブレーキをかけさせていた。
ただ信じて、前へ倒れれば良かったんだと思った。
怖いのは、もうそれは自分では無意識のうちにくせになってしまうということ。

考えてみたら、結構いろんなことがそうなんだと思う。
「なぜできないんだろう」「何がわるいのか」。
わからずに何かを実現させられない状況で、
実は本当にそれを実現させることを躊躇している自分がいたりする。

厄介なのは、「切に望んでいる自分」も、「躊躇している自分」も、
本物の自分なのだということ。

ドストエフスキー(だったかな)が
「神と悪魔がいる。その戦場こそが心なのだ」と言っていたが、
神だけでも悪魔だけでもなくて、二つ同居できる唯一の領域が心なのだと思う。


この時習得したハンドスプリング。
その後高校のグラウンドとか、大学行ってもよく芝生の上でやっていた。
たまに夜走って、やっぱり一人で競技場でやったりしていた。
そうすると、あのときの「あ、できた」っていう感覚を思い出して嬉しくなったりする。

失敗したっていい。前のめりで。

言うのは簡単だけど、実は結構こわい。
背中を地面に打ち付けるのは、ほかならぬ自分だからだ。
でも、やっぱり「やるだけやって」というのがいいかもしれないと、
このハンドスプリングから教えてもらった気がしている。


今年もたくさん失敗すると思うけど、どうせやるなら、前のめりがいいと思う。
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by ton2_net | 2013-01-01 22:39 | その他色々 | Trackback | Comments(0)

Ooishiです。もはや社会人です。このブログ記事は、私個人にのみ帰属するものです。なぁんちゃって。
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