2010年 11月 18日 ( 1 )


優れた”ルール”としての”夢”

ある後輩が、
「博士課程に行かないという選択は、妥協だと思うんです…」と話していた。
多分、大学で物理を学び始めてからずっと、
「博士課程に行って」、「研究者になる」ことを夢見てきたのではないかな、と思う。

それは、とても素晴らしい選択肢だと思う。
けれど、同時に、とても素晴らしい選択肢の中の「一つにすぎない」とも思う。

きっと、「博士課程に進む」という希望の裏には、
「博士課程に行ってやりたいこと」、
「博士課程に行くことでなりたい自分」が有るのだと思う。
まず、それは何だったのかを再確認することから始めて欲しい。

そして、次にそれは、
「他の場所ではできないことなのか」
「他の場所ではなれない自分なのか」
ということを一度考えることを提案したい。


これは個人的な所見だけれど、「夢」は、人を「限定」する物では無いと思う。
逆に、人をもっと広く、豊かに、自由にする物だと信じたい。

そうだとすれば、「夢」は、ある一つの「ルート」
(例えば「博士課程に進む」とか「マスコミ業界に入る」とか)
ではあり得ないのではないだろうか。

遠くに「夢」があって、それを実現する手だては、いくつも有るのだと思う。
それをある瞬間に、選択でき得る限りの最高の道を選ぼうとする”試み”が、
「進路選択」であり、「就職活動」なのではないかな。

”それは「目的」か?「方法」ではないのか?”
これが、tomoさんやαの入住さんに頂いた就職活動においての
”自分にとってのクリティカルな問い”だったと、今になって思う。


さて、「夢は自由になるためのもの」だと書いた。
「自由」とはどういう状態を指すのだろうか。
「ルール」や「方向性」が無い方が「自由」に近づけるのだろうか。

音楽については詳しくないが、ただ乱雑に音を並べたものは、
なんとなく、「自由な音楽」と言うよりは混沌に満ちた、雑音に近い気がする。
コードとか、調とか、対位法とか、ある程度「ルール」はあるんだけど、
そこに、作曲家が選ぶことの出来る自由度はある。

そういう中で、聞いている人が「良い」と感じられる、
作った人が込めた思いが感じられる「音楽が、音楽でいられる」状態になれるのだと思う。


人生において、「夢」とは、ある”優れたルール”のようなものなのではないか。
優れたルールの中で、プレイヤーは自由に輝いて、フィールドを駆け巡り、
音楽を奏でて、自分自身を表現することができる。


もし、様々な道を考えて、結局元から夢見ていた道を選んだとしても、
他の道を見た経験は決して無駄にはならないと思う。

それは、「盲目的に」進路を選ぶのではなく、
「積極的に」その進路を選ぶための、
ある意味で「覚悟を決める」ための、
一つの根拠になるのだと思う。

今の自分の「やってみたいこと」のために、どんな「ルート」があるのか。
それを、思いつくままに全部挙げて見るという作業はとても有意義だと思う。
それを全部チェックできないとしても、人と話しているうちに、
実は、こんな道もあるな、
あっ、あんなやり方もあったんだ、
という発見をして、”マップ”に新しく道を付け加えるという作業は、
なかなか悪くない体験だった。


最近、坂本 龍一の「音楽は自由にする」という本を読んだ。
坂本 龍一へのインタビューをまとめた形式の自伝で、とても面白かった。
一節を紹介します。

そのコンサートには、たしかにすごい衝撃を受けたんですよ。
僕の中に、何かが深く突き刺さってしまった。

その時演奏されたのは、たとえば高橋 悠治さんがピアノの中に野球のボールを
ぽんと投げ入れ、するとボールがぽんぽんと転がり音がするというもの。
それから、目覚まし時計をピアノの中に入れて鳴らしたり。

僕はまだ10歳かそこらで、それまでバッハとか、モーツァルトしか
聴いていなかったわけですから、とにかくびっくりしました。

「これ、音楽なの?」
「へぇ、こんなんでもいいんだ!」と思った。
(「音楽は自由にする」/坂本 龍一(新潮社)p.70)


”型”の無い”型破り”は「むちゃくちゃ」なのだ、ということを、
僕は高校の時、「送辞」を一緒に作ってくれた国語の先生に教わりました。
でも、「守」が出来たら、「破」を考えなきゃ先には進めないと思うし、
その先に「離」があるんだと思う。

型を覚えるのは、その先の自由のために必要なことだと思う。

「こんなんでいいんだ!」
「こんな方法もあるのか!」
と一つ思えたら、それだけでも就職活動をやる意味は有ると思う。


就職を志す方も、
進学を目指される方も、
どちらの道も選ばない方も、
皆さんのご健闘をお祈りします。
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by ton2_net | 2010-11-18 00:52 | 就職活動 | Trackback | Comments(8)

Ooishiです。もはや社会人です。このブログ記事は、私個人にのみ帰属するものです。なぁんちゃって。
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