人気ブログランキング | 話題のタグを見る

新しくなったton2net



酒井英行 教授 (最終講義・東大)

物性関係の方でも興味あるかたはいらっしゃるのではないでしょうか。
学外の人でもいいんだろうな。たぶん大丈夫なはず。
僕は行けるかわかんないですけど。

酒井英行 教授 (最終講義)
「スピンでめぐった原子核物理学」
2010年3月5日(金) 午後4時30分~午後6時00分
東京大学理学部新1号館 小柴ホール


量子系に於いて粒子のスピンは重要な役割を果たす。このことは複数個の核子(陽子と中性子の総称)からなる孤立有限量子多体系である原子核にも当てはまる。核子同士を結び付けている核力は主にパイ中間子が担っていて、非常に強いスピン依存性をもっている。
このため原子核の本質に迫るには、スピン依存の現象の理解が不可欠である。その代表的な例として、原子核のスピン反転振動によるガモフ・テラー巨大共鳴があげられる。1980 年ごろ、実験で得られたガモフ・テラー遷移強度と理論によるスピン和則値との比較からクエンチング問題が発見された。我々は、1997年に長期間謎だったクエンチング問題を実験的に解決した。
その結果、核内核子の内部自由度(平たく言えばクオーク・スピン反転の役割)の寄与が明らかになり、さらに核物質の状態方程式を決める重要な情報も得ることができた。

最終講義では、ガモフ・テラー型振動を始めとして、様々なスピン振動の実験的研究を通して見えた原子核物理学の進展を振り返る。
核のスピン振動の研究には核反応を用いるが、実験的には反応過程でのスピン制御と観測が欠かせない。そのために、この20 年間で重陽子スピン偏極イオン源、偏極陽子固体標的、偏極ヘリウム3 標的、陽子‐、中性子‐、重陽子‐偏極度計等の色々な装置の建設を行ってきた。アインシュタイン・ポドルスキー・ローゼンのパラドックスに関わる実験や三体力を検証する実験も、これらの装置建設の中からアイディアが生まれて実現した。さらに、理研のRIBF施設にSHARAQスペクトロメーターを建設した。不安定核ビームによって、スピン振動の研究に最適な発熱型核反応測定を実現するためである。これにより新たな転回が期待される。これらの話題についても紹介したい。

by ton2_net | 2010-02-09 08:52 | お知らせ
<< 【本日】卒・修論発表練習会(陸... 紙の良い所 >>

Ooishiです。こちらに切り替えようと思っています。https://ton2net.com/
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31