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新しくなったton2net



「広報室」が研究を変える

このブログでシンポジウムを告知したところ、興味を示した友人が聞きに行ってくれた。
そして、彼のブログ上でまとめてくれた。

その1
その2

よくまとまっている。
読んでいて、なんとなくシンポの様子を想像することが出来た。
彼が聞いた話をどのように頭の中でまとめているか、
ということの一端を見られた気がして、
そういう点でも面白かった。

どうもありがとう。


「事業仕分け」が波紋を呼んでいるが、僕のような一学生から、
プロの研究者までがこの話題についてあちこちで話している時点で、
これには一つ意味があったのではないかと思う。

何より僕は、この一件が、「研究広報」の必要性が見直される機会に
なるのではないかと思っている。


ノーベル賞受賞者の記者会見と総理対談、若手研究者集会、
自然科学研究機構の立花隆さんの緊急シンポジウムなど、
科学における事業仕分けについてあわただしい動きがあった先週、
僕は丁度岡崎の研究所の広報室でインターンシップしていた。

岡崎から東京の科学未来館へ向かう新幹線で、広報室の方に色々とお話を聞いた。
その中で、「サイエンスカフェ」についてのお話があった。
「”サイエンスカフェ”は、単にカフェでコーヒーを飲みながら講演をする場ではない。
 それでは、なんの意味も無い。
 お互いが同じ目線に立って情報を交換することに意味がある。」
というお話をされた。

科学者は「知っている」ということによって一般の人の前では
いつも「上にいる」ように感じてしまう。
それは間違っていて、「知らない」ことはまた、「知っている」
人から得られる情報と同じくらい大切な情報なのだ。


同じ目線に立って、情報を交換する。

それが、本当の意味での「広報室」の役割ではないか。
広報室は、単に内部の情報を外に発信するだけでなく、
発信した際に得られた外部の人の反応を見て、
疑問点や要望を内部に伝える役割をしなくてはならない。

広報室は内部と外部の情報の架け橋になるべきだ。
そして外部の情報も鑑みた上で作られた広報の内容は、
外部の人だけでなく、その研究をしている人にも有意義なものでなくてはならない。


アートディレクターの佐藤 可士和さんは、「佐藤可士和の超整理術」(日本経済新聞社)、
あるいは「プロフェッショナル仕事の流儀」(NHK 図情と体芸図書館にある)の中で
印象的なことを言っていて、
「誰かに何かを伝える、ということは、その何かを着飾ることじゃない。
 その何かを、裸にすることだ。」

と言っている。

研究の広報はとかく
(正確性を失い、あやしい内容を発信している)
、と研究者サイドからは見られがちだが、
科学において非常に大切な
「客観性」
は、実は他の立場の視点があってこそ生まれるものだ。

研究を俯瞰するということは、非常に有意義なことだと思う。
その分野、または科学全体から見て、自らの研究はどの位置に属すのか、
そして、自らの研究がこれから先どこに影響を及ぼすのか。

しかし、研究者自身がそういう情報を集めるには時間が必要だし、
膨大な労力も伴う。

そういうときには、他の人に任せればいいのである。
「広報室」は、世間からのフィードバックを伝えることで
研究者にも有意義な広報活動をしていくことができる。

当たり前のことだが、「広報室」は内部のために作られているのであって、
外部の人のためだけにあるのではない。
この辺りの感覚は、企業の広報部に見習うべき点があるのではないかと思う。


夏と冬のインターンシップを経て、研究のための広報について、思ったことだ。
by ton2_net | 2009-12-06 14:52 | 物理学
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Ooishiです。こちらに切り替えようと思っています。https://ton2net.com/
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